設計手法その2 ~広さではなく居場所~

前回のブログでは、
「間取りの前に土地を読む」
というテーマで、私たちタウン建設が設計申込をいただいてから現地調査を行い、その土地に合った住まいを提案していることをお伝えしました。
家づくりは間取りを考えることではなく、その土地でどのような暮らしを実現するかを考えることが大切です。
今回は第2回として、
「住み心地は広さではなく居場所で決まる」
というテーマでお話ししたいと思います。
広いLDKが必ず良い家とは限らない
鳥取市で注文住宅をご検討されているお客様から、
「LDKは20帖以上ほしい」
というご要望をいただくことがあります。
確かに広いリビングは魅力的です。
しかし実際には、
20帖あるのに落ち着かない家
もあれば、
18帖でもとても広く感じる家
もあります。
その違いは何でしょうか。
設計塾で学んだのは、
「人は移動している時間より、居る時間の方が圧倒的に長い」
という考え方です。
私たちは家の中で常に歩いているわけではありません。
ソファでくつろぐ。
ダイニングで食事をする。
窓の外を眺める。
読書をする。
子どもが遊ぶ姿を見る。
こうした時間の方が長いのです。
だからこそ設計では、
「動線」だけではなく、
「どこに居たくなるか」
を考える必要があります。
最近の住宅雑誌やSNSを見ると、
・回遊動線
・ランドリールーム
・ファミリークローゼット
・パントリー
という言葉をよく見かけます。
もちろんどれも便利です。
しかし便利さを優先しすぎると、
壁が増え、
通路が増え、
収納が増え、
結果として空間が細かく分断されることがあります。
実際に同じ35坪の住宅でも、
部屋を細かく区切った家は狭く感じます。
反対に、
視線が抜ける家は広く感じます。
設計塾では、
「抜け・透け・死角」
という考え方を学びました。
例えば玄関に立った時にリビングの窓まで視線が抜ける。
ダイニングから庭の木々が見える。
吹抜けを介して2階の気配を感じる。
こうした工夫だけで実際の面積以上の広がりを感じることができます。

私たちが設計で特に大切にしているのが窓です。
一般的には、
「大きな窓=良い家」
と思われがちですが、実際はそうではありません。
大切なのは、
何を見るための窓なのか
です。
例えば、
道路しか見えない場所に大開口を設けても、結局カーテンを閉めたままになります。
しかし、
庭の植栽や遠くの山並みが見える位置に窓を設けると、その窓は暮らしの一部になります。
私たちは設計の際、
ソファに座った時の目線
ダイニングに座った時の目線
キッチンに立った時の目線
を意識して窓を配置しています。
窓は採光のためだけではありません。
景色を切り取り、
季節を感じ、
暮らしを豊かにするための装置でもあります。
庭は外構ではなく「もう一つの部屋」
家づくりでは建物ばかりに目が向きがちです。
しかし私たちは庭も設計の一部だと考えています。
設計塾でも、
住宅と環境を一体化することの大切さを学びました。
例えば、
リビングの窓の先に植栽があるだけで、室内は何倍も豊かに感じられます。
春は新緑。
夏は木陰。
秋は紅葉。
冬は落葉した枝越しの日差し。

こうした季節の変化は、テレビやスマートフォンでは得られない豊かさです。
私たちがガーデン事業を行っているのも、建物と庭を一体で考えたいからです。
家は建物だけで完成するものではありません。
庭も含めて住まいなのです。
性能だけでは住み心地は生まれない
タウン建設では高断熱・高気密住宅を標準としています。
しかし、
UA値が良いから。
C値が良いから。
それだけで住み心地が良くなるわけではありません。
本当に大切なのは、
その性能を活かす設計です。

どこから光を取り込むか。
どこに居場所をつくるか。
どこに庭を配置するか。
どこへ視線を抜くか。
これらを丁寧に考えることで、住み心地の良い住まいになります。
家の大きさではなく、暮らしの豊かさを考える
私たちが設計塾で学び、今の設計に活かしていることは、
「広い家をつくること」
ではありません。
「心地よい居場所をつくること」
です。
朝、窓から光が入る。
庭の木々が見える。
家族の気配が感じられる。
休日につい家で過ごしたくなる。
そんな住まいを目指しています。
次回は最終回として、
「美しい家はシンプルである」
をテーマに、
構造・素材・屋根・外観について、私たちが大切にしている設計手法をお伝えしたいと思います。
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