仁風閣「令和の大修理」

先日、鳥取県建築士会が主催する「仁風閣保存修理現場見学会」に参加してきました。
鳥取市の久松公園にある仁風閣は、明治40年(1907年)に建築された洋風建築で、国の重要文化財にも指定されています。
建築から約120年が経過し、現在は「令和の大修理」と呼ばれる大規模な保存修理工事が進められています。

今回の見学会では、工事中の建物内部を見学した後、外部足場に上がり、普段は見ることのできない屋根周りや外壁の修理状況を間近で確認することができました。
仁風閣は約50年前にも大規模な修理工事が行われています。
今回の工事も、当初は約5億円の予算で計画されていたそうですが、実際に工事を進めていくと、想定以上に建物の傷みが進んでいることが分かってきたそうです。
特に印象的だったのが、屋根の雨どいや外壁との取り合い部分です。
雨水が少しずつ建物内部に入り込み、木材が腐朽している箇所が多数見つかっていました。約50年前の修理で交換された木材にも、大きな傷みが確認されているとのことでした。
こうした追加の修理や、それに伴う仮設工事などによって、工事費は当初の計画を大きく上回り、20億円程度になる可能性もあるとのお話でした。
工期についても、当初より大幅に延長される見込みです。
建物は実際に解体してみないと分からない部分も多く、特に歴史的建造物の修理の難しさを感じました。
今回の説明で特に印象に残ったのが、建築当初の材料をできる限り残すという考え方です。
傷んだ木材をすべて新しいものに交換すれば、工事としては簡単な部分もあります。
しかし、仁風閣が重要文化財として価値を持つのは、明治時代の建物が、当時の材料や技術とともに現在まで残されているからです。
そのため、床板なども一枚一枚丁寧に取り外し、位置や状態を記録したうえで、修理後には元の位置へ戻していきます。
古い釘を抜く作業だけでも、1本に30分以上かかることがあるそうです。
また、外壁の塗装を剥がす際にも、木材を削りすぎてしまわないよう、職人さんが手作業で慎重に進めていました。
新しい材料に交換するのではなく、当時の材料そのものを残す。
文化財の修理ならではの考え方と、職人さんの根気のいる仕事に感心しました。
今回の工事では、傷んだ部分を直すだけでなく、建築当初の仁風閣の姿にできる限り近づけることも目標とされています。
例えば外壁の色。
私たちが見慣れている仁風閣は白い外観ですが、過去の塗装を少しずつ削って調査した結果、建築当初はもう少し黄色みを帯びた色だったことが分かったそうです。
屋根の煙突についても、当時の写真などを参考に、レンガの表面や形状を復元する計画です。
内部の壁紙も興味深いものでした。
過去の修理で見つかった明治時代の壁紙の模様をもとに、現在の印刷技術などを使って当時のデザインを再現するそうです。
修理が終わった仁風閣は、以前と少し違った雰囲気になるかもしれません。
それは新しくデザインを変えるのではなく、明治時代の本来の姿に近づくということです。
完成後の姿を見るのが今から楽しみです。
私たちタウン建設も、既存住宅のリノベーションや性能向上リフォームに取り組んでいます。
もちろん、文化財の保存修理と住宅のリノベーションでは目的も工事内容も異なります。
しかし、建物の状態をしっかり調査し、使えるものは大切に残しながら、必要な部分に手を加えて次の世代につないでいくという考え方には、共通するところがあります。
また、今回の見学では、建物にとって雨仕舞いがいかに大切かということも改めて感じました。
どれだけ立派な建物でも、雨水の侵入が長年続けば、建物の構造そのものに大きな影響を与えてしまいます。
住宅も完成したら終わりではなく、その後の維持管理や定期的な点検が大切だということを再認識しました。
工事中の仁風閣にも注目してみてください
今回、内部の写真撮影はできませんでしたが、鳥取市のホームページでは、工事の進捗状況が写真とともに詳しく紹介されています。
どのような部分が傷み、どのような方法で修理されているのか、一般の方にも分かりやすく公開されています。
また、一般向けの現場見学会も開催されています。
100年以上前の建物がどのように修理されているのかを実際に見ることができる、貴重な機会だと思います。
建築に興味のある方はもちろん、鳥取の歴史や文化に関心のある方も、機会があればぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
多くの職人さんの技術によって、仁風閣が再び美しい姿を見せてくれる日を楽しみにしています。
![]()
仁風閣保存整備事業「令和の大修理」(鳥取市ホームページ)
EVENT
モデルルーム見学や相談会など、随時開催しております。
お気軽にご参加ください。