たかがトイレ、されどトイレ

先日、地元地区で防災訓練が行われ、役員として準備と運営に関わりました。
今回初めて避難訓練を実施し、約15家庭が参加してくださいました。
会場では 段ボールベッドや非常用トイレの展示 があり、参加された皆さんの関心の高さがうかがえました。
参加者の方々と話をする中で、飲料水や食料の備蓄は意識されていても、
「トイレの備え」がほとんどの家庭で準備されていない という事実が浮き彫りになりました。

先日発表された 内閣府「防災に関する世論調査(2025/速報)」 によると、
災害に備えて3日分以上備蓄している人の割合は以下の結果となっています。
| 備蓄内容 | 割合 |
|---|---|
| 飲料水 | 69.8% |
| 食料(レトルト・缶詰等) | 59.7% |
| 携帯トイレ・簡易トイレ | 27.5% |
| 暑さ寒さ対策消耗品 | 19.0% |
水や食料は半数以上が備蓄しているのに対し、
簡易トイレの備蓄は27.5% と、極端に低い水準にとどまっています。
災害時は「食事は数日我慢できる」と言われますが、
トイレは数時間しか我慢できません。
そして、トイレが使えなくなる理由は断水だけではありません。
下水管が破損し「排水できない」状態になると使用不能となります。
住宅会社として考える「在宅避難 × 住宅性能」
私たち住宅会社は、災害が起きた際の避難について特に
“在宅避難” の重要性を強く感じています。
▼ 在宅避難を可能にする3つの条件
| 必要条件 | 内容 |
|---|---|
| ① 家が壊れない安全性 | 耐震性能・構造体 |
| ② 暑さや寒さから身を守れる環境 | 断熱性能・気密性能 |
| ③ 最低限の生活機能 | 水・食料・トイレ(簡易トイレ)・暖房器具 |
どれかひとつ欠けるだけで
自宅での生活が継続できなくなります。
耐震性能で家が無事でも、
断熱性能が低い家では真冬の停電時に過ごすことはできません。
さらに、どれだけ快適な家でも トイレが使えなければ生活は成立しません。
つまり、
防災=住宅性能 × 備蓄(特にトイレ)
という考え方が重要になります。
今日からできる備え
✔ 家族人数 × 1日5回 × 3日分以上の「簡易トイレ」備蓄
✔ 停電でも極端に温度が変化しない住宅性能(断熱・気密)
✔ 水・食料の備蓄
簡易トイレは大災害後すぐに店頭からなくなります。
ブラックフライデーなどのセール期間を利用して揃えておくことをおすすめします。
たかがトイレ、されどトイレ。
命を守る大切な備えです。
今回の防災訓練を通じて、
地域全体で防災意識を高めることの重要性を改めて感じました。
同時に、住宅会社として
「災害後も家族が自宅で生活を続けられる家づくり」 への責任も強く感じています。
ご家庭でも、ぜひ今日から防災について話し合ってみてください。