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大阪・関西万博2025 -日本の建築技術と可能性-

2025.10.17

2025年大阪・関西万博も、ついに閉幕しました。
最初の頃は来場者もまばらで「閑古鳥が鳴いている」と言われていた時期もありましたが、会期が進むにつれて熱気が高まり、終盤は“満員御礼”。
チケットが取れずに入場できなかった人もいたほどの盛況ぶりで幕を閉じました。

「これは最後は盛り上がるだろう」と感じていたので、私は早めのタイミングで訪れておいて正解でした。

 

会場全体のシンボルとなっていたのが、やはり木造の大屋根リング
現地で見ると、そのスケールの大きさと構造美に圧倒されました。
写真や映像では伝わらない“包み込まれるような迫力”があり、これが多くの人を惹きつけた理由の一つだと思います。

一部のメディアでは「世界一高価な雨よけ」と揶揄する声もありましたが、実際に現地に立ってみると、あの屋根がなければ真夏はとても人が滞在できないと思えるほど。機能的にも必然性のある構造でした。

建築的な視点で見ても、各国パビリオンや展示館はそれぞれ工夫が凝らされ、“仮設建築”という制約の中でどこまでデザインを追求できるかという挑戦が随所に見られました。
会場内を歩くだけでも十分に楽しめる、“建築の祭典”という印象です。

閉幕後、会場ではすでに解体が始まっていますが、大屋根リングのうち約200m分が保存されるとのこと。
ただし、仮設構造として設計されたものを恒久的に残すというのは、技術的にも管理的にもハードルが高い。

たとえば屋外に設けるウッドデッキでも、南洋材(セランガンバツ・ウリンなど)を使えばある程度の耐久性は期待できますが、杉やヒノキを野ざらしにすれば10年ももたないことが多いです。
今後の維持管理が難しく、15年後には「老朽化が進み立ち入り禁止に」というニュースが流れてもおかしくありません。

大阪・関西万博は、単なるイベントではなく、建築が社会に与える影響や可能性を改めて感じさせてくれた場でした。
木造リングという象徴的な建築物を通して、「自然素材×構造技術×デザイン」の融合がもたらす力を体感できたことは、私たち建築に携わる者にとって大きな刺激です。

仮設と恒久、伝統と革新――。
その境界をどうデザインしていくか。
これからの家づくりやまちづくりに活かせるヒントが、確かにそこにありました。

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