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「北欧の暮らしに触れる in フィンランド」後半

2025.09.26

名建築「マイレア邸」を訪れて

いよいよ今回の視察のメインとなる「マイレア邸」へ。
マイレア邸は、北欧を代表する建築家アルヴァ・アアルトが設計した邸宅で、住宅建築の最高峰ともいわれる名作です。内部は撮影禁止や2階立入不可など見学制限が多く、家具にも触れられないなど非常に厳重に保護されていました。しかし、そこに飾られたピカソの絵画や陶器などの美術品、室内空間の構成や素材の使い方は圧巻で、しっかりと目と脳に焼き付けてきました。
外観は撮影が許されており、建築本で見ていたあの建物が実物として目の前に現れる感動はひとしお。80年以上前にここまで先進的な設計が行われていたことに驚かされました。

美しいヘルシンキの街並み

視察の最後の2日間はヘルシンキ市内を散策しました。石畳の道路、高さを抑えた建物、古い建物を改装しながらつくる街並み…。レンガや色使い、看板の少なさが落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
家具や照明はヴィンテージとして価値がつき、アルテックのセカンドストックには正規店以上に高価なものもありました。古いものを大切に使う文化が、街並みを美しく保つ土台になっているのだと実感しました。

ヘルシンキ中央図書館「オーディ(Oodi)」を訪ねて

ヘルシンキ市民の“第二のリビングルーム”とも呼ばれる中央図書館オーディ(Oodi)にも立ち寄りました。2018年にフィンランド独立100周年を記念して建設された公共図書館で、設計はヘルシンキの建築事務所ALA Architects(ALAアーキテクツ)によるものです。

波のような屋根形状と大きなガラス面、温かみのある木材を組み合わせた建築は、まさに現代の北欧デザインそのもの。内部は本の貸出・閲覧だけでなく、カフェ、シアター、3Dプリンターやレーザーカッターを備えたメイカースペース、音楽スタジオ、市民イベントスペースなどがあり、まさに市民の暮らしを支える多機能な文化拠点でした。

本を読むだけでなく“市民が集い、学び、創造する”空間が街の中心にあることに、公共施設のあり方のヒントをたくさん感じました。

自国製品を大切にする暮らし

現地の人々はシャネルやグッチなど海外ブランド品にはあまり興味を示さず、マリメッコやイッタラなど自国ブランドを選ぶのが当たり前。親から家具や道具を譲り受け、DIYで直したり作ったりすることが普通だといいます。実際に訪れたホームセンターは、日本の専門店以上の品揃えで、サウナをDIYで作る人も珍しくないとのこと。こうした文化が「自分たちの暮らしを自分たちでつくる」精神を支えていると感じました。

建築と暮らしの視点から見えたもの

今回の視察では、建物だけでなく現地の人々の暮らし方や価値観に触れることができ、これからの日本の建築についても多くの示唆を得ました。
鳥取や日本の中だけにいると「当たり前」と思っていることに疑問を持ちにくいものです。しかし海外から日本を見つめ直すと、これからの暮らしや建築のあり方について新たな視点が得られます。

建築という行為は、単に自分たちの家を建てることではなく、その街並みの一部をつくっているという自覚が必要です。現地のハウスメーカーの方からも「日本の大工がつくる家の性能は非常に高い」との話を聞きました。性能はすでに世界水準に達しているのですから、これからは外観や街並みへの配慮にもっと力を入れていくべきだと感じました。

京都に外国人が集まるのは古い街並みに価値があるからです。

倉吉の白壁土蔵や、岐阜の馬籠宿・妻籠宿のような中山道の宿場町も同様です。

今建てる建物が100年後にしっかりと残り、地域の価値を高める存在となるために、私たちも日々の仕事の中で「未来に残る街並み」を意識していきたいと思います。

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