建築基準法の大幅改正

2025年4月、建築基準法が約40年ぶりに大幅に改正されました。
今回の改正の中でも特に私たち住宅業界にとって影響が大きいのが、「4号特例の廃止」と、それに伴う建築確認手続きの見直しです。
木造住宅を建築される皆さまや、リフォームを検討されている方にとっても無関係ではありませんので、今回のポイントをお伝えします。
これまで、木造2階建て住宅や延床面積が比較的小さい建物については、建築確認の際に構造に関する審査が省略される「4号特例」という制度がありました。
この制度が2025年4月で廃止されました。
今後は、同様の建物でも構造に関する資料の提出が求められ、審査も省略されなくなります。
今回の法改正で建物の分類も見直され、従来の「4号建築物」は「新2号建築物」「新3号建築物」として再編されます。
一般的な木造2階建て住宅は新2号建築物に該当し、以下の手続きが義務化されます:
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構造に関する書類提出 → 構造審査が必須
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省エネ基準への適合審査(外皮性能・一次エネルギー消費量)
これにより、建築確認の審査期間が長くなるほか、設計段階での資料作成や確認申請にかかる手間が増えることになります。
実際、周囲の協力業者に話を聞くと、基礎工事屋さんは5.6月が比較的少なくなっているとのこと。
3月までに駆け込みで旧制度の建築確認申請を出して、着工するという動きが多かったようです。
3月の確認申請物件数は前年比+30%というデータからも、皆が3月中に申請を出しておこうと考えたのだと思います。
その反動で4月以降の確認申請は落ち込み、実質的に新制度の審査が本格化したのは5月中頃からでしょう。
そして、審査する側もされる側も新しいルールに則って審査をするので、手探り状態。
なかなかスムーズに確認申請が下りない状況が続いているようです。
この法改正により、住宅業界に長くいる人たちの中にはある記憶がよみがえります。
いまから約18年前の2007年(平成19年)。
当時も建築基準法が大きく改正されました。発端は「耐震偽装事件(姉歯事件)」による社会不安。これを受けて、国は建築確認審査のルールを厳しく見直したのです。
結果として…
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審査に必要な書類が膨大に増えた
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建築確認の審査期間が1~2か月以上に延びた
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着工できない物件が全国であふれた
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工務店・不動産・建材メーカーまで連鎖的に影響
この状況は「官製不況」と呼ばれ、住宅業界に大打撃を与えました。
当時、資金繰りに行き詰まり廃業した中小事業者も数多くありました。
確認申請の遅れはそのまま着工の遅れ=引き渡しの遅れにつながります。
また、設計・確認申請の手間が増すことで、設計費や申請費用の上昇も避けられません。
「早く家を建てたい」「春には住みたい」といった希望が、法律上のプロセスで止まってしまう。
これは過去の2007年と同じ構図です。
この法改正を受けて、タウン建設では設計・申請スケジュールの見直しと最適化、住宅検討中のお客様への情報提供と早めの相談体制を行っています。
今回の法改正は、「安心・安全・快適な住宅を広げていく」ための制度変更でもあります。
しかし、知らずに計画を進めるとスケジュールや予算に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
過去の官製不況を繰り返さないためにも、
しっかりと情報を持ち、早めの行動が大切です。
家づくりを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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制度変更にもきちんと対応しながら、理想の住まいづくりをサポートいたします。