日々の暮らしに 余白 を

先日、新緑に包まれる初夏の京都へ行ってきました。
訪れたのは、建仁寺塔頭・両足院で開催されていた特別拝観「縄夏生 – BUAISOU 展覧会」。
藍染ユニット「BUAISOU」さんによる作品と、
“半夏生 (はんげしょう)”が幻想的な美しい庭園を拝観できる特別なエキシビジョンです。
両足院の庭園は、ただ美しいだけではなく、余白のある静けさがとても印象的。
石畳、苔、ゆれる木々、季節の草花。
ふと足を止めて、風に揺れる半夏生の葉を眺めていると、日常のあわただしさがすっと遠のいていきます。
庭園を臨む寺院では、徳島を拠点に藍染めを手がける「BUAISOU」さんによるインスタレーションが展開されていました。
自然の素材を育て、染料を仕込み、布を染める。
その丁寧な工程のすべてが、作品から静かに伝わってきます。
伝統的な縄模様と深い藍のグラデーション。
大きな暖簾が風に揺れている様子は、涼やかでとても粋なものでした。
日々の暮らしに寄 り添う用の美と現代的なクリエーション──
作品と庭園の景色が 呼応し合う情緒的な時空間── (両足院WEBサイトより抜粋)
その空間に身をおいているだけで、気持ちを整えてくれる気がします。
私たちがつくる住まいにも心を整える余白を。そう感じたひとときでした。
手仕事には、時間の重なりが宿ります。
それは、私たち工務店の家づくりにも通じるものです。
木材に触れ、図面を描き、ひとつひとつの空間をカタチにしていく。
その“人の手がつくる豊かさ”が、暮らしを支えてくれるのだと思います。
さらに今回、もうひとつ心に残ったのが「お守りづくり」。
好きな言葉を選び、静かに願いを込めながら仕上げる時間は、自分自身と向き合うような感覚でした。
手元に残る小さな布のお守りは、日々の暮らしの中でもふと心を整えてくれる存在に。
京都を訪れる機会があれば、ぜひ体験してみてほしいです。
緑あふれる庭、ゆれる光、時を重ねた藍──
両足院の展示には、静けさの中にある“豊かさ”を感じさせてくれる魅力がありました。
家づくりにも、そんな余白のようなものを、大切にしていきたいなと改めて思います。