万博と建築

先日、大阪万博の会場に行ってきました。
まだ始まったばかりですが、すでに多くの人で賑わい、各国のパビリオンや展示にワクワクさせられるばかり。
各国の展示物よりも、建物が気になっていました。
建築的に面白い構造やデザインの建物が多く建てられていること。
有名建築誌「カーサブルータス」でも取り上げられていましたが、素材や構造、空間の使い方など、見ていて本当に飽きません。
しかしふと、「これらの建物、万博が終われば壊されてしまうのだろうか?」と、勿体なさを感じていたところ、
いくつかの建物は移築される予定だという話を耳にしました。
建物を「壊す」のではなく「移す」という発想
さすが日本。
実はこれは、日本が古くから大切にしてきた「勿体ない」の精神と深く関係があります。
昔から日本では、木造建築を解体して他の場所へ「移築」したり、使える部材は削ったり組み直したりして「再利用」したりする文化があります。
たとえば:
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古民家をまるごと別の土地へ移築して再利用
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大きな梁や柱を活かして、リノベーションに再活用
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建具や建材を裏返して再利用する工夫
「壊して終わり」ではなく、「次にどう活かすか」を考えるのが日本らしい発想です。
万博建築はアートであり資源でもある
今回の大阪万博の建築物も、ただの「仮設」では終わらない価値があると感じました。
半年間の展示で終わらせてしまうにはあまりにも完成度が高く、思想のこもった建物たち。
その中に「次の居場所」が与えられることは、
建築が「一過性の消費物」ではなく、「次の役割を持った資源」であるというメッセージでもあると感じました。
建築から見える、日本の未来と伝統
昔から続く「勿体ない」の心。
そしてそれが、現代建築や万博のような最先端の場でも生きていることに、改めて日本の知恵と感性を感じました。
私たちの暮らしの中でも、リノベーション、古材の活用、部分的な再生など、できることはたくさんあります。
「新築だけがすべてではない」そんな選択肢も、これからもっと広がっていくのかもしれません。
歩き疲れた帰りに見た大屋根リングからの景色は、とてもきれいでした。