講師登壇

2025年4月9日からの3泊4日、私にとって大きな挑戦がありました。
それは、人生で初めての「東北への旅」、そして人生で初めて「講師」として登壇する機会」。
この2つの”初めて”を、一度に経験するという、まさに忘れられない時間になりました。
今回、登壇の機会をいただいたのは、「Replanフォーラム2025」。
住宅業界における情報発信のプロフェッショナル集団「Replan」さんが主催する、
地域の工務店や設計者を対象とした専門性の高いイベントです。
登壇したのは、初日の福島県郡山市と、2日目の宮城県仙台市の2会場。
連日の講演は、正直プレッシャーも大きかったですが、それ以上にワクワクしていました。
テーマは、
「性能で選ばれる時代に、我々地域の工務店が果たせる役割は?」
約60分の講演時間をいただき、鳥取の地で私たちが取り組んできたことを中心に、
これからの地域工務店の未来について、精一杯お話させていただきました。
今回の講演に向けて、資料をつくる時間がかなりかかりました。
でも、その過程が自分にとってとても大きな意味を持ちました。
図面や写真を整理しながら、
「なぜこの事業を始めたのか」「なぜこの設計を選んだのか」
ひとつひとつの意思決定を振り返ることで、改めて会社の軌跡と価値観を確認することができたのです。
鳥取から伝えたメッセージ
講演の中では、まず**鳥取県が力を入れている断熱基準「NE-ST(ネスト)」**についてご紹介しました。
鳥取のような比較的温暖な地域でも、断熱の必要性は年々高まっているという話から、
「NE-STが普及すれば、性能では差別化ができなくなる未来が来る」とお伝えしました。
そのとき、工務店は何を提供するのか。
「暮らしの質をどう高めるか」「地域にどう寄り添うか」が鍵になってくると考えています。
また、当社で近年スタートさせた2つの新しい事業についても紹介しました。
🌿 ガーデン事業部門
エクステリアから暮らしを考えることで、建物の設計にも広がりが出てきました。
庭から空間を考える設計は、住まいに「余白」と「奥行き」をもたらしてくれます。
私たちが目指す“外とつながる暮らし”の実現に、一歩近づいたと感じています。
🏡 不動産事業部門(民泊)
もう一つは、いま準備を進めている民泊事業です。
これからの地域の空き家活用や観光との連携を考えたとき、「泊まれる場所を自らつくる」ことはとても重要だと考えました。
完成後には、ぜひ現地にも視察に来ていただきたいとご案内しました。
「鳥取に行ったことがある方?」と講演中に聞いてみると、
手を挙げてくださったのは、なんとたった一人。
山陰と東北はどちらも”地方”で、共通点も多いと感じていましたが、やはり物理的・心理的な距離はあると痛感しました。
でも、実際の移動はそこまで大変ではありません。
帰りは、仙台から東京まで新幹線でわずか1時間半。
その後、羽田から鳥取まで飛行機で約1時間。
「意外と近い!」というのが素直な感想でした。
少しだけ時間があった郡山の夜、現地の方におすすめされたお店で馬刺しをいただきました。
これがまた、最高に美味しい。
会津地方は、日本三大馬刺しの名所のひとつだそうで、特に「辛みそ」でいただくスタイルが印象的でした。
お取り寄せもできるようなので、今度はスタッフにも食べてもらおうと思います。
今回は仕事での訪問だったため、ほとんど観光はできませんでしたが、
あらためて震災復興ツーリズムなど、東北には行ってみたい場所がたくさんあります。
人との出会い、歴史とのふれあい、そしてその土地ならではの建築。
講師としての登壇をきっかけに、東北という土地に興味と親しみが湧いたのは間違いありません。
次回はぜひ、旅行としてゆっくり訪れたいと思います。
今回は「講師」という立場をいただいたことで、自分の考えを言語化する大きなチャンスを得ました。
地域の仲間たちと真剣に意見を交わせる場は、本当にありがたいものです。
登壇の機会をくださったReplan関係者の皆様、現地で出会ったすべての方々に感謝を込めて──
7月には、同じく「Replanフォーラム2025」青森に行く予定です。