大和ハウス、地方から撤退

先日、大和ハウスが新築戸建て住宅の事業を再編し、2027年4月から23道県で新規販売から撤退するというニュースがありました。

全国展開する大手ハウスメーカーが、鳥取県などで新築住宅の販売から撤退する。
住宅業界にいる私たちにとっても、かなり大きなニュースです。
ただ、今回の話を「大和ハウスが鳥取からいなくなる」と捉えるのは少し違います。
新築戸建てについては都市部へ経営資源を集中させる一方、すでに建っている住宅のアフターサービスは継続し、リフォームや中古住宅の買取・仲介などはむしろ強化していく方針とのことです。
ここが今回のニュースで一番重要なところではないかと思っています。
日本の住宅業界がいよいよ、「新築を建てることが中心の時代」から「今ある家をどう使い続けるか」という時代に変わってきたということです。
実際、2025年度の注文住宅の着工戸数は約19万5千戸で、前年度から12.6%減少しています。特に三大都市圏以外では15.4%減と、地方の落ち込みが大きくなっています。
人口が減り、これから世帯数も減っていく地方で、新築住宅だけを追いかけていくのは難しくなっています。
これは大和ハウスだけの問題ではありません。
鳥取県でも新築着工がさらに減っていけば、全国規模のハウスメーカーが今と同じように営業・設計・施工の体制を維持していくことが難しくなる可能性は十分あると思います。
一方で、新築が減っても、今ある家がなくなるわけではありません。
家は建てて終わりではなく、10年、20年、30年と住んでいけば、外壁や屋根、水回り、給湯器、窓など、必ず手を入れる時期がきます。
子どもが独立すれば間取りを変えたくなることもありますし、年齢を重ねれば段差をなくしたり、冬の寒さを改善したりする必要も出てきます。
そこで、これから地方で大きな課題になってくると思っているのが、
「その家を誰が直すのか」
ということです。
特に大手ハウスメーカーの住宅には、一般的な木造住宅とは違う構造や、メーカー独自の部材・納まりが使われているものが少なくありません。
鉄骨系やプレハブ系の住宅であれば、図面や構造を確認せずに壁を撤去したり、窓を大きくしたりすることはできません。メーカー専用の外壁材や建具などもあり、年数が経つと同じ部材が手に入らないこともあります。
「メーカーの家は、そのメーカーでなければリフォームできない」と思われている方も多いのですが、必ずしもそうではありません。
ただし、地元の工務店ならどこでも簡単に直せるというものでもありません。
ここは今後、かなり大きな問題になってくると思います。
今回、大和ハウスは既存オーナーへのアフターサービスやリフォームについては、全国で継続・強化するとしています。そのため、現在大和ハウスの住宅に住んでいる方が、すぐに困るという話ではありません。
ただ、住宅は30年、40年、場合によっては50年以上使います。
その間に住宅会社の方針が変わることもありますし、支店の統廃合や人員配置が変わることもあるでしょう。
これから家を持つ人には「どこの会社で建てるか」だけではなく、
「20年後、30年後に誰がこの家を直せるのか」
という視点も持ってもらいたいと思います。
そして、ここには私たち地元の工務店の役割もあります。
これから鳥取で増えてくるのは、新築だけではありません。
築20年、30年、40年を迎える住宅を調査し、今の状態を見ながら必要なところを直していく。耐震性能に不安があれば補強し、寒ければ断熱性能を上げ、古くなった設備を交換する。
そうやって、今ある住宅をもう20年、30年使えるようにしていく仕事が、これからもっと増えてくると思います。
「他社で建てた住宅だからできません」では、地域の住宅を守っていくことはできません。
もちろん、メーカー独自の構造や仕様によって、私たちでは対応できない工事もあります。その場合は無理に触らず、メーカーに相談してもらうことも必要です。
逆に、ハウスメーカーの住宅であっても、図面を確認し、現状をきちんと調査すれば、地元の工務店で対応できるリフォームもたくさんあります。
まずは家を見て、図面を確認して、「何ができて、何ができないのか」を判断する。
これが大切だと思います。
今回の大和ハウスの発表は、一企業の撤退というニュースだけではなく、地方の住宅業界がこれからどう変わっていくのかを象徴する出来事のように感じています。
鳥取には、これまで何十年もかけて建ててきた多くの住宅があります。
新築が減っていくこれからは、それらをすぐに壊して建て替えるのではなく、状態のいい家は直し、必要であれば耐震や断熱などの性能も上げながら、長く使っていくことが今まで以上に重要になります。
私たち地元の工務店にも、新しい家を建てる技術だけではなく、「今ある家をきちんと診て、直す技術」がこれまで以上に求められると思っています。
もし「ハウスメーカーで建てた家だけどリフォームできるのだろうか」「メーカー以外に相談してもいいのだろうか」と思っている方がおられれば、まずは建築当時の図面や資料を大切に残しておいてください。

リフォームを考えるとき、その資料がとても重要になります。
どこで建てた家であっても、まずは今の状態を調べて、できることを考える。
これから鳥取で長く家に住み続けていくためには、そんな考え方がますます大切になってくると思います。
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